2016年10月8日土曜日

平野弥臨時ワイン教室 青魚とワインのマリアージュの研究 さんま刺身編


しめ鯖編の続き、さんま刺身編です。これもスダチを大皿の上でかけて、醤油につけてから食べるスタイルで条件を合わせます。


さんま刺身の評価結果です。左からワイン順、色分けは評価者、折れ線グラフが平均点です。


評価者の色分けはこちらのツリーマップをみてください。さんま刺身の評価に対する点数の影響度や傾向をみることができます。さんま刺身と全ワインとの相性を人別でみると、AGさんを除くと平均である3点以上で概ねよい印象を受けたようです。横浜基点はよい印象側に位置しています。


こちらはパレート図にしたものです。

SyrahBourgogne RougeBiancoAligotePassetoutgrainsGamayChardonnay
0.5620.9270.9390.6970.5060.6180.618
こちらは評価値のバラツキを表現する標準偏差で、値が小さい方がバラツキが少ないことを示しています。パレート図と組み合わせてみると、Syrahは「さんま刺身」と相性よく、Chardonnayは相性が悪め、アリゴテとパストゥグラン、ガメイはまぁまぁで評価が一致し、ルージュ、ビアンコは人によって評価が変わりやすいという傾向にあるようです。


次に、さんま刺身と個々のワインとの相性やテイスティングコメントに移ります。横浜基点のコメントを先に書き、その後に他の方のコメントも記入しますが読み間違いもあると思います。ご了承ください。皆さん疲れてきてコメントが少し減っています。
これらコメントは人によって嗜好が異なるだけでなく、基準としてみるところによって異なり、ワインを基準にしてよくなったか、食材を基準にしてよくなったかなどによっても結果が異なります。そして横浜基点は俯瞰した世界観や時間軸の動きを見ていて、視点や評価が異なるところも研究会での楽しい点です。

まず素材そのものですが、このさんまはとても甘い!とろっとした甘さです。

(1) Bianco: 2015 BIanco "I Tigli  Saccoletto Daniele
さんまの脂の甘味がエクレア状に空間に出現する。その輪郭は保っているが、周囲の液体側に圧力を加えた逆浸透圧により中に周囲のワインの果実味が入り込んでいくような感じを受ける。さらに、エクレアの周囲は3倍ぐらい大きい領域として空間があり、そこにはワインの酸味がキラキラしている。さんまの脂が舌触りのとろみ、甘味、旨みをすごく感じさせる。脂がきれいに溶けていく。(4点)

両者を引き立てる。さんまの旨みが強調される。@平野さん(5点)
オイリーさのバランスがよい。脂のバランス。@YG(3.5点)
ずっと同じ方向で溶けある感じ。脂の質。@HK(5点)
甘味が出てくる。臭みなし。@TN(4点)
果実味が協調される。魚を食べるというよりはワインを飲んでいるという認識。@YM(3-点)
XXXが、とろみがあう。@HN(4点)


(2) Aligote: 2014 Bourgogne Aligote Champ Forey VV  Jean Fournier
さんまがワインに溶けて魚汁な感じになる。さんまがシュワシュワと液体となり、まったく違和感ない一体の液体となり、輪郭などはまったくなく、どこかに液体をこぼしたかのような形なき形になる。この感覚は新しい。(4点)

脂のバランスはするがシャープさがガサツ@YG(3.5点)
おいしいが@HK(4点)
アリゴテの酸のクドくなる。合わない。@TN(2点)
魚を食べることによってワインの旨みが出る。ただ酸は感じる。@YM(3+点)
レモンシャバシャバの刺身みたい。@HN(3点)


(3) Chardonnay: 2014 Bourgogne Blanc Jean de la Vigne  Corider Pere et Fils
しめ鯖のときと同じように、同じトーンにいるが、それぞれが独立していて、それぞれがおいしい。シャルドネが硬派で頑なに感じる。面白味はない。(3.5点)

しめ鯖と同じで両者変化せず。@平野さん(?点)
可もなく不可もない@KD(3点)
ナマさが際立つ。ワインのミネラル感が立ってしまう。魚のまろやかさが△になる。@YG(1.5点)
シャルドネはシャルドネ、さんまはさんまで存在する感じ。@HK(3点)
可もなく不可もなく。シャルドネは変わらない。@TN(3点)
ワインのおいしさ引き立てるほどではない。@YM(3点)
冷めた風的な距離感@HN(2点)

(4) Gamay: 2012 Juliette Louise  Cordier Pere et Fils
しめ鯖のときとほぼ同じ感覚だが、こちらの方がさんまの甘味がマカロンを横からみたぐらいの大きさで中央で密度を持ち、その輪郭はさんまの甘味が溶け出している。周囲はワインに2倍ぐらいの領域で囲まれている。(3点)

ワインがよりうまい。さんまの個性はでる。@平野さん(4点)
胡椒の香りが強い@KD(3点)
マヌケあるが端正さが脂の軽さに合う新り出る@YG(2.5点)
躍動感がないのでマスクしてしまう。@HK(3点)
可もなく不可もなく。タンニンきつくなる。@TN(3点)
さんまと果実味、旨みがあう。ワインはおいしくなる。ただし、さんまの個性はあまり感じない。(4点)
なじむ。@HN(4点)


(5) Bourgogne: 2014 Bourgogne Rouge  Jean Fournier
さんまの旨みが二層構造になっていて、一層目はマカロンを上からみたぐらいの少し楕円形状で密度が濃く、その周囲に2.5倍ぐらいの大きさでさんまの旨みの層がある。さらに、ワインがさらに3.5倍ぐらいの大きさで横長長方形となっている。この輪郭はしっかりしていて、その輪郭を水彩画でなぞるように沿ってさんまの脂が染み出てくる。これはいいです。(4.5点)

両者とてもきれいになる。@平野さん(5点)
魚が強くなる@KD(4.5点)
タンニンの質感とワインのバランスする。ピュアさが引き立つ。@YG(4.5点)
旨いワインが合わさるとス踏みとエグミが出てきてまずくなる。合わない。@TN(2点)
ワインのミネラル分を感じる。さんまをあぶりたくなる。あわなくはない。(3+点)
タンニン感じる。@HN(4点)


(6) Passetoutgrain: 2013 Bourgogne Passetoutgrain  Ramonet
ワインでサラッとさんまの旨みが流される。さんまの脂が少し溶けて、酒盗まで濃くはないがそういう一体感ある。どうみるか、好みで分かれそうな組み合わせ。(3.5点)

しめ鯖のXX路地がある。@平野さん(3点)
両方うまくなるがやや分離@KD(4点)
少し脂が浮き上がる。かな、距離がある。@YG(2.5点)
脂が浮かび上がる。ご飯が欲しい?@HK(3点)
可もなく不可もなく。@TN(4点)
ワインの酸が強調される。さんまがまけちゃう感じ。さんまに火を入れたくなる。カリッと+スパイス。@YM(3+点)
タンニン感じる。@HN(4点)


(7) Saint Joseph: 2012 Saint Joseph  Jean-Louis Chave
さんまが横に倒した焼き芋状にあり、溶けて広がる。それをワインがバーンっと上方へバルーンのように引き上げる。空間にふぅっと引き上げていく様は心地よい。しめ鯖とパストゥグランの組み合わせが降りてくるのに対して、こちらはその逆の印象を受ける。(4.5点)

ワインの旨みがより強調@平野さん(5点)
シラーにさんま、シラーが上がる@KD(4点)
土っぽさ、やわらかいに立つ。脂のバランスがシラーの土っぽさ、スパイシーさが立つ。@YG(4.5点)
合う。両者が高める感じ。@HK(5点)
シラーのスパイス感、厚みが増してうまくなる。@TN(4点)
さんま+おしょうゆの旨みがあう@YM(-点)
うまい。@HN(5点)


次は、「関アジ刺身編」です。


ワイン専門 平野弥 横浜市都筑区荏田南町4212-1
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