2016年10月8日土曜日

平野弥臨時ワイン教室 青魚とワインのマリアージュの研究 しめ鯖編



平野弥臨時ワイン教室です。臨時と書いてある通り、教室というよりも研究会の趣が強い会です。以前にも「ワインと食事のマリアージュを探究する会 2013」で刺身も含めて実施していますが、今回は「 青魚」に特化しています。台風などの影響により魚が取れず延期され、いつもの通り直前の招集にもかかわらず参加8名、主催2名を加えて合計10名です。


場所はいつも通り、平野弥さんのテラスです。


以前はワインに対して食材を当てていましたが、今回は食材を固定してそれに色々なワインを合わせてみることになりました。評価は5段階です。しめ鯖、さんま刺身の評価は必須で、関サバ、イワシ刺身、鯖サンド、サンガは好きな人はやるという形式です。

ワインリストと単体のひと言テイスティングコメント@横浜基点
(1) Bianco: 2015 BIanco "I Tigli  Saccoletto Daniele
グリーントーンが甘さを伴い、シャープさがあり、周囲はほわんとした甘さがある。

(2) Aligote: 2014 Bourgogne Aligote Champ Forey VV  Jean Fournier
果実味がしっかりとしたアリゴテ。

(3) Chardonnay: 2014 Bourgogne Blanc Jean de la Vigne  Corider Pere et Fils
ミネラルの美しさとバランスの良さが際立つシャルドネ。

(4) Gamay: 2012 Juliette Louise  Cordier Pere et Fils
キャンディ香。すっきりした味わいでタンニンはとても細かく多め。時間経つと黒胡椒が出る。

(5) Bourgogne: 2014 Bourgogne Rouge  Jean Fournier
濃いめの味わいでタンニンのトーンが低めで細かくて多い。

(6) Passetoutgrain: 2013 Bourgogne Passetoutgrain  Ramonet
トーンが高く、すっきりして素直。

(7) Saint Joseph: 2012 Saint Joseph  Jean-Louis Chave
酸味が生き生きしている。おいしい。



最初はしめ鯖から開始です。


調味料の状態も共通にするため、しめ鯖は大皿上でスダチをかけて、醤油をつけて食べます。醤油はカップソーサーを利用しました。


ワイン7種類に対してグラスは2つで、一度グラスに香りがつくと次のテイスティングに影響するので工夫が必要です。食材を食べたら口を拭ってからグラスに口をつけるとよいです。また、グラスに口をつけるときには、口に触れた液体が少しでもグラスに戻らないように口内へ注ぎ込み、特に上唇がグラス縁内側に触れないように気を付けます。
これらはレスランで食事するときに、グラスと料理が1つで完結しないときには同じようにするととても有効で楽しく食事できます。


しめ鯖の評価結果です。左からワイン順、色分けは評価者、折れ線グラフが平均点です。


評価者の色分けはこちらのツリーマップをみてください。しめ鯖の評価に対する点数の影響度や傾向をみることができます。しめ鯖と全ワインとの相性を人別でみると、HKさん、TNさんがプラス、平野さん、YGさんがマイナスの印象を受けたようです。横浜基点は中間に位置しています。


こちらはパレート図にしたものです。

Bourgogne RougePassetoutgrainsAligoteBiancoChardonnayGamaySyrah
0.6500.6501.0131.0540.6500.5270.682
こちらは評価値のバラツキを表現する標準偏差で、値が小さい方がバラツキが少ないことを示しています。パレート図と組み合わせてみると、Bourgogne RougeとPassetoutgrainsは「しめ鯖」と相性よく、Chardonnayは普通、Gamay、Syrahは相性は悪く、AligoteとBiancoは人によって評価が変わりやすいという傾向にあるようです。



次に、しめ鯖と個々のワインとの相性やテイスティングコメントに移ります。横浜基点のコメントを先に書き、その後に他の方のコメントも記入しますが読み間違いもあると思います。ご了承ください。
これらコメントは人によって嗜好が異なるだけでなく、基準としてみるところによって異なり、ワインを基準にしてよくなったか、食材を基準にしてよくなったかなどによっても結果が異なります。そして横浜基点は俯瞰した世界観や時間軸の動きを見ていて、視点や評価が異なるところも研究会での楽しい点です。

(1) Bianco: 2015 BIanco "I Tigli  Saccoletto Daniele
しめ鯖のやや厚みをもった中域トーンの味わいが余韻と共に収束していくタイミングで飲むと、ワインとしめ鯖がグルグルと卵かけご飯を箸で攪拌されるかのような感覚になる。しめ鯖は平面に薄い雲のように漂っていて、お酢などの高いトーンの成分がワインに果実味で抑えらえて大人しくなる。ゼスチャーで手のひらを下に向けて両手を上下させて「まぁーまぁーまぁー」っと「しめ鯖」がワインにたしなめられている感じがする。(3点)

ワインに渋みが出る@平野さん(2点)
おいしくないが飲める@KD(3点)
バランスにシャープさが足りなってしまう。オイリーさと重さが△に作用する@YG(2点)
さわやか。同じ方向性のキレさ、ちがうもの タンニン?@HK(5点)
しめ鯖のスが酸を抑える。ワインに深さ厚みが出る。@TN(4点)
食すと果実感が出てくる。ベストとは言えない。苦みもある。@TM(3点)
後味でねっとり@HN(4点)


(2) Aligote: 2014 Bourgogne Aligote Champ Forey VV  Jean Fournier
しめ鯖は同じように平面に薄い雲のように漂っていて、ワインを口に含むと、その中央にとても薄い層のミネラルがピカーンとご来光の直前のように切り裂き、地平線を作る。その後に地平線の全域ではなく、中央側3/4程度の幅からふわっとしたやわらかい味わいが膨らんでくる。空間と情景を感じさせる世界観があってよいです。(5点)

ワインと強調する@平野さん(4点)
普通@KD(3点)
シャープさが強すぎる。やわらかさが足りず△になる部分が湧き上がる@YG(2点)
高くないが微妙に違う方向を向いている。時間が経つとどうなるか?@HK(4点)
アリゴテの酸の特徴が消える。@TN(3点)
単体で飲むよりアリゴテの酸より旨みを感じるようになる。@YM(4点)
あとが△@HN(2点)


(3) Chardonnay: 2014 Bourgogne Blanc Jean de la Vigne  Corider Pere et Fils
しめ鯖とワインが同じような広がりと高さで平面状にふわっと浮いているが、邪魔もせず、それぞれが独立しておいしい。おもしろさはない。(3.5点)

両者にすごく距離がある。喧嘩もしない。@平野さん(4点)
可もなく不可もない@KD(3点)
アルコールが立ちが多い強くまるとな鯖がシャープに化けってしまう。甘味のバランス@YG(2点)
両者が静的、お互いの距離が少し@HK(3点)
鯖の生臭さが出てくる@TN(3点)
スダチのみだとなんとかいけるが醤油をつけるとミスマッチ。でもわさびのみでもまぁまぁいける。@YM(2.5点)
あとが△@HN(2点)

(4) Gamay: 2012 Juliette Louise  Cordier Pere et Fils
違和感はないがビアンコと同じくぼんやりしている。(3点)

元と違う@平野さん(2点)
味が分裂@KD(3点)
香りはバランスしないが甘さと苦みの質が合う感じだが脂の質が合わない@YG(3点)
悪くないがシャルドネにも似て両者が静的でやや距離がある@HK(3点)
鯖の旨みとガメイの特徴が共に消える。@TN(2点)
ブドウのFreshさが強調されてしまうのであまり合わない。コクと釣り合わない。@YM(2+点)
可もなく不可もなく@HN(3点)


(5) Bourgogne: 2014 Bourgogne Rouge  Jean Fournier
しめ鯖の平面状にある薄い雲をワインが360度の全方向から綿菓子を押さえつけるかのように抑え込み、丸みが出てきて、ある意味で一体感を感じる。(4点)

ピノはきれいで鯖より品格が高い@平野さん(4点)
魚の味に膨らみ@KD(5点)
タンニンが強い思ってしまう。ただし、バランスはする。ワインがひっかりあげている成あり@YG(3.5点)
おいしい。鯖をワインが包み込む感じ@HK(5点)
ピノの旨さはそのままに@TN(4点)
醤油の旨みとワインの旨みがおいしい。スダチのみでもわさびのみでも〇。@YM(4+点)
醤油がおいしい♡@HN(4点)


(6) Passetoutgrain: 2013 Bourgogne Passetoutgrain  Ramonet
しめ鯖の平面状にある薄い雲があり、ワインの酸味はとても高いトーンに薄く平面状にある。その天空にある酸味が降り注ぐというよりも、しめ鯖の薄い雲が吸収していく。吸収していくにしたがって、薄い雲だった中央付近が次第に密度が高くなっていく。ワインから追ってみると、高域から中域に層ごと引っ張られるような吸引力を感じる。(4点)

旨みの部分が一体化する@平野さん(5点)
バランス@KD(4.5点)
バランスが合う。主張をまとめる。△要素が出ない。@YG(4点)
ワインが一歩下がって寄り添う感じ。ワインの間口が広い感じ。ミネラルが治水でなく淡水の感じ。@HK(4点)
鯖の旨みと塩味が引き立つ@TN(4点)
ワイン単体おいしい。醤油をつけて食べると逆に醤油が邪魔になる。スダチのみの方がいい。(4-点)


(7) Saint Joseph: 2012 Saint Joseph  Jean-Louis Chave
しめ鯖のあとにワインを口に含んだ瞬間に、しめ鯖が跡形もなくなる。まずくはないが面白くない。(2点)

ウレ酸悪?が出る。ワインはおいしい。@平野さん(3点)
ワインうまく鯖が下がる@KD(2点)
ワインに負けてしまう。土っぽさ邪魔をする@YG(1.5点)
ワインが勝ってしまう感じ。しめ鯖がかわいそう?@HK(2点)
鯖の臭みが出てくる。合わない。@TN(2点)
ワイン単体のおいしさが鯖と合わせると消える。ワイン単体おいしいので+。@YM(3+点)
バランスする@HN(3点)


集計が結構大変です。続きの「さんま刺身編」「関アジ編」はこの後に続きます。



ワイン専門 平野弥 横浜市都筑区荏田南町4212-1
http://www.hiranoya.net/